圧倒的な発達を遂げた現在のAI(人工知能)の分野は、画像生成や文章執筆など人間の一部の知的活動をほぼ完璧に「模倣(Imitation)」できるようになってきました。このように人による表現を容易に再生産できるAIの台頭は多くの可能性に満ちていると同時に、創作を生業にするひとからは自らの仕事が奪われてしまうと強い反発を招いています。
しかし、19世紀に写真機の台頭が画家を写実性から解放し、モネやゴッホに代表される印象派の流れが開拓されたように、人の表現行為を代替する技術が生まれるたびに、人間はその新しい技術では簡単に模倣できないような表現を「逸脱(Deviation)」する形で作り出してきました。この模倣と逸脱の繰り返しによって、技術と表現は相互進化してきたとも言えます
このプロジェクトではコンピューター科学の父と呼ばれる、アラン・チューリングのイミテーションゲーム(1950)を参照したデヴィエーションゲーム (Deviation Game)を提案します。過去の模倣が得意なAIを使って何かを生成するのではなく、その表現が過去に存在したかどうかをAIに識別させることで、過去から逸脱した表現の可能性を探る展示とワークショップを開催します。
2023 3/5(日)16:00~18:30
定員:45名 入場無料、事前申込不要
日英同時通訳つき、文字情報支援(UDトーク)あり
ゲスト:谷口暁彦, 久納鏡子
3月4日に始まる「Deviation Game」の展示に合わせて、オープニングトークを開催。画像から文章まで、ありとあらゆるものをAIが生成できるようになったいまアートとゲームはどこに向かうのか?ゲストの実践を交えたパネルトークを開催します。
2023 3月開催
4(土)5(日)10(金)12(日)17(金)19(日)
金曜日:17:00~18:30、土・日曜日:13:30~15:00
定員:各回10名
web申し込みはこちらから
展示では体験できない新しいゲームのルールを先駆けて遊ぶことができます。とあるお題の絵を、人間には当てられるがAIには理解されないように描く協力型のゲームや、AIが「愛」だと認識するような絵を参加者で協力して描くゲームなど、毎回違ったワークショップを開催。ゲームを通じて、AIが世界を認識する方法を遊びながら紐解いていきます。
2023年3月21日(火・祝)15:00~19:00
CCBTの次期フェローの募集を前に、アーティスト・フェローと作品制作に伴走したメンターが登壇し、本年度の活動を振り返る報告会を開催。5組のクリエイターによる活動発表を行います。
「思索のための玩具」をテーマに、社会に新しい視点をもたらすゲームや実験的ソフトウェアの開発を行う。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、オランダのデルフト工科大学院のインタラクションデザイン科を修了。その後、アムステルダムに拠点を置く研究機関Waag Futurelabに参加し、人工知能が社会に与える影響についての研究に携わる。近年の作品はアルス・エレクトロニカ STARTS PRIZE (リンツ、2021年)にノミネートされたり、Victoria & Albert Museum(ロンドン、2022年)で展示された。
https://www.tomokihara.com
Daniel CoppenとSaki Coppenによる実験的ユニット。共にイギリス・ロンドンのRoyal College of Artを修了し、以来「あそび」 をテーマに、年齢問わず体験者の創造性を育む道具やメディアの在り方を探究している。YouTube上でも精力的に活動している他、過去作品はVictoria & Albert Museum(ロンドン, 2022)、MAK - Museum of Applied Arts (ウィーン, 2019 - )で展示されている。
https://www.studioplayfool.com
CCBT Mentors :Takayuki Ito (Yamaguchi Center for Arts and Media) / Asami Hosokawa (Sapporo International Art Festival)
Technical Collaborator: Kye Shimizu (N sketch) / Daiki Hashimoto (N sketch) / Hidemaro Fujinami (N sketch)
Sound Design: Matteo Bandi
Textile Support: Studio Onder de Linde
Graphic Design: Taeko Isu / Chika Yamaguchi
Additional Funding Support: Creative Industries Fund NL
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本作品はシビック・クリエイティブ・ベース東京 [CCBT]による「アート・インキュベーション・プログラム」のアーティスト・フェロー活動の一環として制作されました。
Contact : deviation.game[a]gmail.com